迫真怪異叙耳詩:『怪異』の設定とその種類
「えっ、ここで話すの?」
「知らなくても楽しめるからね。本編では尺や編集の都合で書ききれないし」
―――怪異―――
常ならざりて、生より出でるもの。妖怪、幽霊、怪物。
◆霊魂
人や動物の「魂」を起点に発生したもの。「魂」というのは生命を動かす霊魂そのものの他、怨嗟などの感情なども指す。
◆伝承
都市伝説や怪談など、「物語」から発生したもの。恐怖・好奇心 = 信仰によって形を持つため、あり方としては神にも近い。
◆怪物
自然の理から反した異常な生物。霊魂や伝承などの複合的要因で生まれるものや、そもそも我々既存動物とはまた異なる理に従い出生するものがいる。特に『妖怪』と呼ばれるものの多くは、これの後者に該当する。
◆妖魔
信仰を必要としない神格。別名「特例神格体」。悪魔や旧支配者など。
◆現神
神性を有した人や動物。迫神学会会長・████や、100年~1000年規模で発生するいわゆる「現人神」、九尾の狐などがこれに該当する。「巫者の術」の最終目標はこれの人造である。
コラム:伝承が先か、怪異が先か
伝承に語られる怪異はすべて伝承タイプかと言えば、それは違う。
創られ、語られた伝承から怪異が生まれることもあれば、怪異の暴虐やそれに立ち向かった英雄が詩をもって語られ、伝承となることもある。
長く語られてゆく中でそれらの違いは曖昧となっていき、元々怪物タイプの怪異であった存在が、それについて語る伝承によって信仰を獲得し、怪物タイプと伝承タイプのハイブリッドとして再構築されるといったこともある。
そういった現象が起きる特に顕著な例は、聖書や古い英雄譚に語られる悪魔や怪物である。
―――元迫神学会編纂部汎伝承課 平野萬斎著 「怪異の神性とその変遷」より。